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【CROSS OVER Vol.5 湘南ベルマーレ 岡本拓也選手】サッカー人生に後悔を残したくない

武岡優斗です。元Jリーガーで、現在はセルソースで働いています(僕に関する記事はこちら)。そんな僕が、セルソースと縁のあるアスリートにインタビュ―していく企画「CROSS OVER」。
 
本企画の第5弾は、湘南ベルマーレに所属している岡本拓也選手です。
 
若かりし頃よりビッグクラブで酸いも甘いも経験し、今はベルマーレで「湘南スタイル」を体現している岡本選手に、当時の話やベルマーレへの想いについてインタビューしてきました。ぜひ最後までご一読ください。

岡本 拓也|Takuya Okamoto
 
1992年6月18日 埼玉県生まれ。
「浦和レッズ」のアカデミー出身で、2010年に2種登録選手としてトップチームに登録され、同年3月J1第1節鹿島アントラーズ戦にベンチ入り、第2節FC東京戦でJリーグデビュー。2010年8月にトップチーム昇格内定が発表された。その後2013年8月に「V・ファーレン長崎」へ期限付き移籍、2015年に「浦和レッズ」に復帰し、2016年1月には「湘南ベルマーレ」へ期限付き移籍。2018シーズン終了までプレーし、2019年に「湘南ベルマーレ」に完全移籍。今季で連続在籍数は9年目となりチーム最長。

サッカーだけは違った。記憶にはない自分の意思表明。

 ――岡本選手がサッカーを始めたきっかけを聞かせてください。
 
近所の友達がサッカースクールに行くというので、それについて行ったことがきっかけです。ただ当日友達は来ず、一人で参加しました(笑)。そこでの経験が面白かったらしく僕はあまり主張するタイプの子供ではなかったのですが、「サッカーをやりたい!」と親に主張したそうです。
 
――2010年に2種登録選手(*)となり、開幕戦ベンチ入り。当時のメンバーを考えると凄まじい事だと思いますが、キャンプの時から手応えはありましたか?
 
*=18歳以下の選手で構成される下部組織(U-18など)に所属しながら、Jリーグの公式戦に出場できる選手のこと。
 
キャンプでは、「意外にプロの世界でも自分のプレーが通用するな」という感じはありました。キャンプの最後に「徳島ヴォルティス」とのプレシーズンマッチがあって、その試合メンバーに入り、更にはスタートから出場できたので「おや?これチャンスあるのかな?(笑)」と思いました。
 
――実際に高校生で開幕戦、鹿島アントラーズ戦のメンバーに入った当時の心境は覚えていますか?
 
とりあえずテンパってました。名前を呼ばれた時は驚きましたよ。そしてさらに事件が起きたんです・・・。
 
当時、試合当日は午前中に「選手全員で身体を軽くほぐす」というルーティーンがあったのですが、それにめちゃくちゃ寝坊して遅刻していくっていう・・・(笑)
 
――それは事件ですね(笑)。そのあと大丈夫でしたか?
 
朝起きて真っ青になりました。急いでバスに乗って「すいませんでした!」と言ったのですが、そのことが強烈過ぎて、最後は笑い話になったのかも覚えていません(笑)
 
――第2節ホーム開幕戦のFC東京戦で平川さんの怪我の影響もあり、急遽出場することになりましたが、当時の心境を教えてください。
 
アップをしていたら、奥の方で誰か倒れているのが見えて「平さんかー、そうかそうか」と思いベンチを見渡すと、そのポジションには俺しかいなくて「これ俺が行くのか!?」と思っていた矢先、名前を呼ばれました。
 
1-0という中々に緊迫している状況で、しかも対面が長友さん(長友佑都)だったこともあり、「とにかく一生懸命やろう!」とだけ思っていました。試合が終わった後は「ホッとした」、ただそれだけですね。
 
――実際にトップ昇格が決まった時の心境はいかがでしたか?また2010シーズンはどう感じていましたか?
 
やっぱり嬉しかったです。小さい頃から見ていたレッズのトップチームに上がれるのは「夢」だったので。ホームが駒場の時からよく観に行ってました。
 
2010年の最初は、ただただ必死でした。最後の方になると慣れてきて「結構プレーが通用するな」という感覚になってきたのを覚えています。
 
ただ、翌年はケガも含めて上手くいかない事も多く、「ちょっと舐めてたな」と今振り返ると思いますね。

「このままでは終われない」長崎への移籍を決断

――2013年夏に移籍を決断していますが、ご自身の中で決断に至った理由を教えてください。
 
当時のレッズはミシャ(ミハイロ・ペトロヴィッチ監督:現・北海道コンサドーレ札幌)が監督で、練習内容に11対11の紅白戦があるんですが、この11対11に入れない選手は反対側でボールを蹴ることしかできないんですよ。
 
この状況がきつくて自分の中で腐ってしまう部分もあり「このままだとサッカー選手として終わってしまう」と感じ、移籍を決断しました。
 
その時、実は「V・ファーレン長崎」だけでなく「横浜FC」からもオファーがあったんですよ(笑)。
 
――もしかしたら一緒にやっていた可能性がありましたね(笑)。長崎での1年半はかなり試合に絡んでいたと思いますが、充実していましたか?
 
高木監督はめちゃめちゃ厳しくてキツかったけど、試合に出れる充実感はありました。当時長崎はJFLから上がったばかりのチームで、凄くハングリーさがあって楽しかった記憶があります。

成長を実感できた湘南での1年

――2013年夏にV・ファーレン長崎へ移籍し、2016年には湘南ベルマーレへ期限付き移籍となりましたが、その背景を教えてください。
 
自分の中でも自信がついて「もう一度浦和で勝負しよう!」と思って戻りましたが、結果的にあまり出場機会が得られませんでした。そんな時に湘南ベルマーレからオファーをいただいたんですね。
 
同世代の直輝くん(山田直輝)や、浦和で一緒にプレーしていた坪さん(坪井慶介)もいましたし、元々よくチェックしているチームだったこともあり、チャレンジする事に決めました。
 
――2017年はJ2優勝。年間を通してリーグ出場数が30試合を超えたのは初めてですが、2017シーズンはご自身にとってどのようなシーズンでしたか?
 
まずJ2でも勝つのが本当に難しいと感じた中で、1試合1試合を必死にやった結果が「優勝」という形でした。
 
曺さん(曺貴裁:現・京都サンガF.C.監督)の練習はキツいんですよ。そのシーズンは負けたらオフ明けに「砂浜集合」で、もう何回砂浜を走ったかわからないです(笑)。

身をもって感じた「言い合える関係性」の大事さ

――2019年に湘南ベルマーレへ完全移籍。この決断をした背景にある、ご自身の想いを聞かせてください。
 
前年にルヴァン杯で優勝するなど結果が出て、自分の中で凄い充実感がありました。クラブが成長していく中で、「ここで戦いたい」という想いが強くなっていきましたね。
 
――当時の湘南ベルマーレといえば、選手同士が試合後に本音を言い合ってぶつかるシーンが話題になりましたが、実際にいた選手としてどう感じていましたか?
 
あれは凄かったですよね(笑)。ただ、ああやって遠慮せずにみんなが思っている事を言い合えたからこそ、絆が深まった感覚はありましたね。
 
ベテランの人達が始めてくれたので、自分達も言いやすかったです。ちなみに僕も言いました。梅崎さんに(笑)。
 
先輩たちの器の大きさがあってこその出来事だったし、言い合える関係性って本当に大事だなと感じました。
 
――在籍年数が9年目。ご自身の中にある湘南ベルマーレへの想いを聞かせてください。
 
連続在籍年数だと1番長いですね。先輩達がベルマーレでの「湘南スタイル」を伝えてきてくれたように、自分も後輩たちへ伝えていかなきゃいけないなと思ってます。
 
ここで培ったものが多いので、本当に感謝しかないです。

素晴らしいと感じられるサポート体制

――少し話は変わりますが、これまでの怪我の経験を教えてください。

怪我はめちゃめちゃしてます(笑)。オペも4回経験してます。脱臼で肩が1回、膝の半月板で2回、第五中足骨で1回ですね。筋肉系はそこまで多くないですが、今年1回怪我しました。

――今仰っていた筋肉系の怪我で「PFC-FD™療法」を受けられたと思いますが、どのような怪我だったのでしょうか。また実際に受けられていかがでしたか?

ハムストリングスの肉離れです。PRPはこれまでに何度も受けていたので、効果があることは知っていました。

ハムストリングスの怪我は全治6週間ぐらいと言われていたんですけど、「PFC-FD™」を打って、3週間ぐらいで復帰することが出来ました。

メディカルチェックで採血するタイミングでこういう取り組みを始めることを知り、「めちゃいいじゃん!!」って思いました。本当にありがたいなと思います。

選手は怪我すると不安になるし、その期間を少しでも縮められるのなら、素晴らしいですよね。

――現在31歳ということで選手としてはまだまだここからだと思いますが、今後のサッカー人生について、ご自身の中で考えている事があれば教えてください。

「出来るだけ長くやりたい」というのと「サッカー人生に後悔を残したくないな」と思っています。

35歳まで選手を続けられたらバンバンザイですね。

インタビュー後記

実際にピッチ上でマッチアップしていた選手へのインタビューは、不思議な感覚でした。非常に若くしてビッグクラブで酸いも甘いも経験をし、今は「湘南スタイル」を体現する岡本選手。今後もさらに期待しかないです。

また、ピッチ上では”ファイター”のイメージが強い岡本選手でしたが、実際にお話してみると物腰が柔らかくて、そのギャップがこれまた良かったです!もっと話を聞いてみたくなりました!岡本選手、ありがとうございました。


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