【セルソース新体制インタビュー】新COOとCSOが語る変革と未来(前編)
セルソースは2024年1月に澤田CEOが就任し、第10期の幕開けとともに執行体制を大きく刷新しました。その中核を成すのが「チーフオフィサー制度」です。
今回は、新たに就任したCOO(最高執行責任者)の細田さんと、CSO(最高戦略責任者)の林さんにお話を聞き、セルソースの新たな挑戦と未来像に迫ります。
多彩な経験を持つ新執行体制
ーー まずお二人のセルソース入社前のキャリアについて教えてください。
細田:
私は2009年から2022年まで住友商事に在籍し、その後セルソースに入社しました。住友商事での最初の5、6年はバックオフィスで審査業務や業績管理を経験し、その後8年間は海外M&Aを担当しました。
全部で30カ国ほどに出張し、またブラジルに2年、ウクライナに3年駐在しました。ウクライナは本当に戦争が始まる直前まで居ましたね。
私のキャリアの特徴としては、買収を実行したらそのままその会社に出向したこと、つまり「買収ディール」と「PMI(Post-Merger Integration)」の両方を、複数案件で経験したことだと思います。
この「PMI」という単語は、今では当たり前ですが、当時はまだ広がり始めたころで、住友商事の中で組織化してPMIを実行した初めての案件が私のブラジル案件でした。そこで史上最高益を出して、次のウクライナ案件でもまた史上最高益を出しました。
林:
私は新卒でマッキンゼーに入社し、主に消費財と小売業のセクターを担当していました。途中で1年半ほど、外資系消費財メーカーに出向して、主に化粧品会社の買収後の経営改善案策定と実行に従事しました。
その後、出向先での上司が転職して資生堂ジャパンのCFOになり、声をかけてもらい私も資生堂へ転職しました。CFO直下スタッフとして、事業計画や構造改革プロジェクトなどの推進を行いました。
澤田さんと出会ったのは資生堂に入社して1年半ほど経った時です。とある社内プロジェクトに澤田さんが外部アドバイザーとして関与されるようになったことがきっかけです。その後、「面白いことをやるから一緒にやろう」と誘っていただき、セルソースに入社しました。なんというか、ご縁があってという感じですね(笑)。
人事からCOOへ、コンサルからCSOへ ─ 新体制の舞台裏
ーーでは、次にセルソースに入社をされてから今日までを振り返っていただきたいです。
細田:
実は私は「人事領域に携わりたい」という想いでセルソースに入社しました。海外出向の経験から、会社を良くするには人事がコアだと気づいたんです。
セルソースに入って最初の2年間は、基本的に人事をメインでやらせてもらいました。経営企画やM&A、IRなども管掌しましたが、常に軸は人事でしたね。正直、全てが手探りでした。
入社当時、会社の規模は90人くらいで、離職率もスタートアップとしては結構低い会社でした。ですが「年率30~40%で成長する中で、人の成長や確保が追い付かず、社員が疲弊してエンゲージメントが下がる」という課題がありました。
これに対して、エンゲージメントサーベイの導入をはじめ20くらいの施策を打ちました。特に大きな成果としては、急成長に伴う痛みに対して、HRのメンバー全員で立ち向かって乗り越えられたことですね。
私にとって最も大きかったのは、当時のCEO裙本さんがHR周りの全てを任せてくれたことです。彼は「Valuesとしてこれは譲れない」といった 創業者としての”想い”は示すものの、それ以外は全て任せてくれました。HR未経験の人間にとって、託してくれたことは本当にありがたかったです。
ーー 林さんはセルソースに参画してまだ半年ですね。その短期間でも既に色々な課題に直面し、それを解決してこられたのだと思いますが。
林:
正直に言うと、私は細田さんの言っていた「年率30-40%で成長しているベンチャー」に入ったつもりだったんです(笑)。でも、実際入ってみたら会社は次のステージに上がるための踊り場にさしかかっていました。
最初は驚きと戸惑いがありましたが、このタイミングがちょうどよかったんだと思います。急成長中の局面より踊り場にさしかかった局面の方が私もこれまでの経験をより生かすことが出来ます。
セルソースに入社してからは、まずは徹底した「見える化」に取り組みました。様々な部署に散在していたデータを取りまとめて分析して各事業の詳細な状況を明らかにし、会社として各事業にどのように向き合うべきかを取りまとめました。同時に、会社の全費用を一つ一つ担当者とチェックしていき、徹底したムダ削減に取り組みました。
澤田さんとも毎日のように議論を重ね、気付けば半年経っていた、というくらいあっという間でした。
澤田CEOの組織改革 ─ 大胆な人事と『Who not How』
ーー 澤田さんが来られて大きな変化があったわけですね。
細田:
澤田さん就任時、私はHRと共に、経営企画を担当していましたが、澤田さんのイメージする「経営企画」と異なる点が多く、毎週のように呼び出されて、厳しいご指導を頂いていました。
ですが、ある日急に「来月から営業本部長な」と言われ、瞬く間に営業本部長に就任し、林さんに経営企画部門を引き継ぐことになったんです。
当時は悔しい想いもありましたが、林さんにバトンタッチした後、会社の経営管理レベルは本当に10倍くらい成長したと思います。何もかもが変わりました。
気が付いてはいませんでしたが、自分が出来ない・向いてないことをやろうとしていて、少し無理が生じていたのだと思います。そこを澤田さんに指摘されて、結局私の管掌領域が変わることになりました。人生初の営業責任者となり、最初は訳が分かりませんでしたが、就任して5か月経ってみて「意外と合っているかも」と感じてきました。この状態に本当に驚いています。
ーー 人に関する澤田さんの考え方について、もう少し詳しく教えていただけますか?
細田:
そうですね、澤田さんの人事の考え方は、主観というか直感が大きいです。「俺は違うと思う」とか「俺はお前がやれると思う」とか「お前には無理だ」というのは、完全にアートの部分なんです。
通常会社が大きくなると、サイエンスがアートよりも優先されて組織が硬直化し、それが衰退の一つの要因になります。トップが「俺がこう思う」と引っ張っていくというのは、人事にとってすごく大切なエッセンスだと思います。
例えば私を営業本部長にする件でも、澤田さんが当社の経営陣全員に相談したら、全員が反対したそうなんです。でも彼は「やっぱりやろう」って。これって、聞く意味がないじゃないですか(笑)。でも、そこで自分の直感を信じて決断する。それが凄いと思います。
新体制における新規事業と既存事業の明確な分離
ーーCEOの澤田さん、CXOの裙本さんも含めた執行体制全体をどう見たら良いですか?
細田:
「全く新しいことをやるゼロイチの裙本さん」と「既存事業をひたすらに大きくしていく細田」が横並びでフロントに立ち、それを澤田さんが大きくガバナンスをしている。そして、澤田さんのもとで数値や経営戦略の部分を見ているのが林さんという構図ですね。
林:
私も同感です。今回加工受託事業を細田さんに一任したというのは、かなり大きな意味があると思います。
ゼロから新しい事業を作り上げることが得意な裙本さんが新規事業に集中出来る環境ができたと言う点でもそうなのですが、細田さんが加工受託事業 の責任者として実力を最大限発揮しやすい環境を作ったという点でもとても意味深いです。細田さんはオーナーシップの塊のような人で、任された領域について徹底的に深堀して理解し方針を定め、それを言語化して人を動かすことが得意です。
だから、澤田さんは細田さんを「加工受託事業責任者」という立場にして担当領域を明確にし、その代わりその領域は細田さんに徹底して任せる、というようにしたのだと思います。
細田:
確かに、今回の体制には澤田さんのスタイルが大いに表れています。極めて明確な境界線を引いて、成果が出たらその人の功績、出なかったらその人の責任というのが澤田スタイルです。今、自律分散型の組織も流行ってきていますが、私はこのスタイルの方が働きやすいです。
後編へ続く
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