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【飼い主さま&獣医師インタビュー】手術以外でワンちゃんの目を守る新しい味方「イヌ血小板由来成長因子療法」

こんにちは。セルソースで動物医療事業を担当している西垣です。
 
当社は動物再生医療技術研究組合(PARM)に加盟し、アニコム ホールディングスグループと共同でイヌ角膜潰瘍を対象とした「イヌ血小板由来成長因子(cPGF™)療法」の研究開発を行いました。
 
今回は、愛犬・チロルちゃん(フレンチブルドッグ)に本療法を受けていただいた飼い主Mさまと、本療法をご活用いただいた担当医の川田先生(あかつきペットクリニック院長)にインタビューさせていただきました。

飼い主Mさまへのインタビュー

「麻酔を打ちたくない」。その想いから、cPGF™療法を選択

愛犬:チロルちゃん(フレンチブルドッグ)
※この写真の点眼はイメージです。

ーーチロルちゃんの眼に症状が出た経緯を教えていただけますか。
 
チロルが眼を掻いてしまったのです。掻くのが癖で、以前にも眼を傷つけたことはありましたが、今回は特に深い傷を負ってしまいました
 
掻いたと同時に『キャン』と鳴いて、眼から水のような液体が止まりませんでした。私は「眼が視えなくなるかも」と心配し、直ぐに川田先生に連絡し、その日に診察していただきました。
 
ーーどのような経緯で「cPGF™療法」を受けることになったのですか。
 
先生からは「1週間の内科的治療を行い、その後手術を検討しましょう」とご説明いただき、まずはヒアルロン酸と抗生剤の点眼を投与する内科的治療を開始しました。
 
開始後、当初の治療では十分な効果が見られず、「手術」という単語が頭をよぎるようになりました。
 
ただ、先代の犬が別の動物病院で避妊手術を受けた際、麻酔の影響で術中に心臓が止まり、後遺症で耳が聞こえなくなったという経験があるので、「麻酔を用いる手術」に不安を感じていました。
 
そんな中、先生から点眼で行う「cPGF™療法」をご紹介いただき、手術を回避できるかもしれないと思い、この療法を受けることに決めました。
 
ーー「cPGF™療法」を開始後、チロルちゃんの容態はどのように変化しましたか。
 
傷を負ったところは白く濁っていたのですが、投与後徐々に黒くなってきて、1週間程でかなり良くなりました。今ではもう、全く問題なく日常生活を送っていて、眼を理由とした通院もしていません。
 
この療法は自宅で1日数回の点眼を行うだけなのですが、それであれだけ深かった傷が1~2週間で大きく修復されることに感激しました。

川田 学 先生へのインタビュー

川田 学  先生
(あかつきペットクリニック院長)

ーーチロルちゃんに「cPGF™療法」を提案された経緯を教えてください。

チロルちゃんは自分でひっかいて生じた外傷性角膜潰瘍であること、来院時には眼房水が止まっていたことから、傷自体は深かったものの、まずは内科的治療を施しました。

しかし、内科的治療を開始して2週間経過しても、十分な効果は確認できませんでした。一歩間違えれば再び穿孔を引き起こす可能性があったため、早期回復が必要な状態でした。

この場合、手術がメインの選択肢になりますが、チロルちゃんは今年4月に別の部位ですが手術を実施していたこと、またアレルギー体質であったことから、手術をせずに確実かつ早く治ることを期待してcPGF™療法を提案いたしました

ーーチロルちゃんの経過はいかがでしたか。
 
cPGF™療法を初めて1週間程で良くなっていたと思います。2~3週間目には傷も塞がっていて、フルオルセイン検査でも陰性を示し、治療を完了しました。
 
血小板由来成長因子は、角膜上皮の再生を促したり、血管を増生させたり、過剰な炎症を押さえるという作用がありますので、そういった作用がチロルちゃんの傷の治りを促進したと考えています。

麻酔にリスクのあるワンちゃんに、特に適した療法

ーー本療法はどのようなワンちゃんに適用するのがいいでしょうか。
 
角膜潰瘍を患っているワンちゃんで、手術を避けたい方、中でも麻酔のリスクが高い方に適用するのがいいのではと考えています。

具体的には、高齢や持病を持つ犬は麻酔の副作用が懸念されるため、この療法が有力な選択肢となります。

当院では例えば、13歳の角膜潰瘍のワンちゃんに適用したケースがございます。こちらのワンちゃんは高齢であり、且つ、慢性腎臓病を患っていたため、手術の負担とリスクの大きさに鑑みて、この療法を選択したことがあります。

また、診察中に興奮してチアノーゼを引き起こすようなケースもハイリスクな子が多いので適していると思います。

ーー本療法について、飼い主さまには普段どのように説明されているのでしょうか。

説明の際は、手術時の麻酔リスクに加え、費用についてもお話しさせていただきます。病態にもよりますが、手術時の費用と比較するとお安いこともあり、飼い主さまが本療法を希望される印象です。

ーーcPGF™療法への今後の期待を教えてください。

重度の角膜潰瘍には手術が必要となることが多いですが、持病や年齢、費用の問題で難しいケースが多くあります。しかし、この療法は「点眼」という体への負担が少ない手法で、手術に代わる効果が期待できるため、角膜潰瘍の治療法として非常に期待しています

元気になったチロルちゃん


インタビュー後記

 取材にご協力いただきました、Mさま、川田先生、本当にありがとうございました!

我々セルソースがPARMに加盟し、cPGF™療法の研究開発を行ってからまだ実質1年目ですが、治療にお役立ていただいたお話を伺うことができ、大変喜ばしく思います。
 
より多くの飼い主さまと困っているワンちゃんたちにこの療法を届けられるよう邁進していきたいと思います。
 
cPGF™療法は、PARMに加盟している動物病院であればどこでも受けることが可能です。

ワンちゃんの角膜潰瘍でお困りの方は、ぜひPARM加盟の動物病院にご相談ください。

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