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【人材研究所 曽和社長へインタビュー】「一貫性」なき人事施策は、事業グロースには繋がらない。

こんにちは、セルソース・経営企画本部の細田です!
昨年大好評だったカミナシさん、Smart相談室さんとの企画に続き、第二弾のコラボ記事をお送りします!
 
今回は人材研究所・代表の曽和さんをお招きし、Smart相談室・三浦さんと私が、それぞれ聞きたいことを聞きまくる、という企画です。(Smart相談室さんの記事はこちら
 
セルソース側で設定したお題は「事業グロースに貢献するHRとは」。自由演技色の強いHRはついつい色んなことをやってしまいますが、最終的には事業が強くならなければ会社は立ち行きません。
 
セルソースも社長が変わり、もう一度「事業グロース」に集中する中で、HRとして色んなヒントをいただきました。一つ質問したら永久に解説が出てくる曽和さんの貴重なお話し、ぜひ最後までご一読ください!

曽和 利光|Toshimitsu Sowa
 
株式会社人材研究所 代表取締役社長
1971年、愛知県豊田市出身。灘高等学校を経て1990年に京都大学教育学部に入学、1995年に同学部教育心理学科を卒業。株式会社リクルートで人事採用部門を担当、最終的にはゼネラルマネージャーとして活動したのち、株式会社オープンハウス、ライフネット生命保険株式会社など多種の業界で人事を担当。「組織」や「人事」と「心理学」をクロスさせた独特の手法が特徴とされる。
2011年に株式会社 人材研究所を設立、代表取締役社長に就任。企業の人事部(採用する側)への指南を行うと同時に、これまで2万人を越える就職希望者の面接を行った経験から、新卒および中途採用の就職活動者(採用される側)への活動指南を各種メディアのコラムなどで展開する。
 

キーワードは「一貫性」

――「事業グロースに貢献するHR」というテーマについて、曽和さんの中で浮かんでくるものを教えてください。

曽和:私は、まさにこのテーマを一生かけて追及していると言っても過言ではないのですが、まず「個別具体的な”型”はない」というのが私の結論です。
 
例えば、リクルートはボトムアップ型、インテリジェンス(現パーソル)はトップダウン型ですが、どちらも事業が伸びていますよね。また、不動産業界でも「インセンティブ有り」で伸びている会社もあれば、オープンハウスのように「インセンティブ無し」で伸びる会社もある。
 
なので「この要素を満たせば伸びる」というようなものは無いと思っています。
 
ちなみに、オープンハウスの社則は「マグナカルタ」と呼ばれているのですが、そこに「群れるな、そこからは何も生まれない」という一文があります。分断統治、みたいな感じもしますが、それで上手く行くケースもある、ということですね。
 
――なるほど、「唯一解」のようなものはないということですね。そうなるとどういうことを意識するといいですか?

曽和:大事なのは「一貫性」だと思っています。事業を伸ばそうとすると、どうしても「職務」や「業務」に引きずられて、それぞれの「仕事」が最適化されてしまいます。
 
ですが、大事なのは会社全体としての一貫性。「こういう会社にしたい」という想いに対して、各人事制度やプロセス、文化が統一されているか、の方が遥かに重要です。
 
会社が小さい時は「社長の意思」に一貫性が図られるでしょうし、歴が長くなってくると「社員」に紐づくかもしれません。リクルートなんてその典型ですよね。「社員がこういう会社だと思っている」ことに一貫性が取られています。
 
それを端的に表したのが、アルフレッド・チャンドラーの「組織は戦略に従う」だと思います。
 
ただ、唯一事業優先で上手く行くのは「社長が組織に対して意思がない」ケース。事業には無茶苦茶思い入れがあるけれど、組織に対してはいい意味で拘りが無い。そういう会社は、事業と組織がぴたーーっと一枚になっていることがあります。
 
――会社が小さいときは、主力事業が一つというケースが多いので、一貫性が問題にはならさそうです。問題は事業が多角化した時ですよね。

曽和:まさにそうで、事業が増えてきた時に文化が試されます。「その文化は汎用性が高いのか」「その文化は強いのか」が問われますね。
 
一貫性が取れていて、汎用性が高く、そして強い文化であれば、事業の数が増えても一つの文化で行けることも全然あります。一方、そうでない場合はモザイク状というか、事業ごとに少しずつ文化自体を変える必要が出てきます。
 
事業が複数生まれるまでに、どれだけ一貫性を作り上げられるか、もポイントになってきます。
 
LIFULLや富士フイルムを見ると、色んな事業をやって、ピボットして、を繰り返していますが、大きなリストラをせずに上手く行っています。私は「組織に一貫性さえあれば、意外とどんな事業でもやれてしまうのではないか」と思っています。

組織作りは、「巧遅は拙速に如かず」とはならない

――当社のように社長が変わったタイミングなどは、確実に変化が必要になりますが、変化する際にやるべきこと、気を付けることはありますか。
 
曽和:まず「変えてもいいもの」と「変えちゃいけないもの」を選り分けることが大事です。「何を残すのが最も一貫性を保てるか」と考えながら、変えないものを選んでいきます。
 
一番良くないのが「拙速に変えること」です。事業はどんどんTry and Errorしたら良いと思いますが、組織や人事は複雑系であり「不可逆な要素」がとても多いので、慌てて何かをして良いことは余りありません。
 
私がご相談を受ける案件で多いのが「上手く行っているけれど、それがなぜなのか、どの要素が効いているのかが分かっていない」ケース。
 
「薬を20錠飲んで治ったけど、どれが効いたか分からない」というような状態ですね。この状態で変に変えると「せっかく上手く行ってたこと」を気付かずにスポイルしてしまう恐れがあります。
 
例えば「離職率を下げたら、人の入れ替わりが無くなって逆に組織が淀んだ」なんてケースはざらにあります。
 
なので、私はまず肌理細かく「因果関係図」を書きます。そうしてから変えていいものは一気に変えていく。
 
「ゆっくりやる」ということとは違うのですが、事業と違ってPoCがしづらいので、慎重にやるべきだと思います。
 
――「各施策が80点で一貫性が無いケース」と「各施策が60点で一貫性があるケース」はどちらのほうがいいですか?
 
曽和:私は「各施策が60点で、一貫性がある」方が良いと思います。結局一貫性が無いと矛盾が生じて、どれもこれも上手く行かなくなってしまいます。

もっと「ハード」に目を向けて。定期的な「HRドッグ」は必要。

――「一貫性」については理解が進みましたが、少し実務的な面での注意点も伺いたいです。

曽和:私はいつも「ハードにもっとリソースを割くべきだ」と言っています。
 
ここでいう「ソフト」とは、「行動規範の設定」や「採用人物像の作り込み」のようなものを指します。多くのHRの方々はここはとてもしっかりやられています。
 
一方「報酬体系をどうするか」とか「新卒の育成方法」など、もっと形のある「ハード」については、忌避される方が多い。
 
だから「欲しい人材の募集要項は完璧なのに、社内の賃金カーブがその人材にとって魅力的じゃない」といった矛盾が直ぐに発生してしまいます。
 
ハード面の整理は時間が掛かりますし、目立ちづらい。更には必ず利害関係者がいるので、文句も言われやすい。
 
やりたくない気持ちも分かりますが、そこに一貫性が取れていないと、結局全てが絵に描いた餅になってしまいます。
 
――「ソフトとハードで一貫性が取れているかどうか」というのは、かなり難しい問いですね。相当言語化を頑張らないといけない印象です。

曽和:仰る通りで「言語化」はとても重要です。だからこそ「変えちゃいけないものはなにか」を考え尽くすことが大事です。その過程で言語化が進みます。
 
また組織は毎日変化していくので、数年経ったら別組織です。なので、人間が数年に一度「人間ドック」に行くように、自分たちでやるのでもいいので、定期的に「HRドック」をやるべきです。
 
例えばゼンショーさんは数年に一度「パーソナリティー分布」を取ります。そうすると、必ず「受容性の高い人」が増えているのだそうです。これはそういう人の方が採用に通りやすいからだと思うのですが、それだとエッジの効いたアイデアが出て来なくなり、イノベーションも起きない。
 
なので、分布を見た上で「こういう人をあと〇人取れ」という様な指示が飛ぶそうです。「HRドック」の好例だと思いますね。

編集後記

元々はもう少しテクニカルというか、実務的な話も出てくるかと思っていましたが、徹頭徹尾「一貫性」という所がキーワードであったインタビューでした。
 
確かに、採用、オンボーディング、報酬、、、、それぞれだけでも考えることが山のようにあり、気づいたら個別最適になってしまうのはある意味自然なことでもあります。更に大企業になれば、考える部署も変わってきてしまうので、一貫性を図るのは非常に難しいですよね。
 
「結局どういう会社でありたんだっけ」という問いに対して、一貫性を図る。逆にそれさえ出来ていれば、事業はピボットするし、スクラップ&ビルドするし、実は案外どうにでもなる。こういう事と理解しました。
 
ここでいただいた「一貫性」、そして「拙速に変えない」「ハード大事」「定期的にHRドックを」といったキーワードを胸に、更に強いセルソースを作り上げていきたいと思います!
 
曽和さん、ありがとうございました!

セルソース 細田/Smart相談室 三浦さん/人材研究所 曽和さん


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