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生産技術部の私が化学物質管理者になった話

こんにちは。CPC本部 生産技術部の近藤です。
セルソースでは「Learning Plus」という「セルソース社員の活躍、成長、必要な学びに発生する費用を全額会社が負担する」制度があります。詳しい情報はこちらの記事をご覧ください。

私はこの制度を利用して、2024年3月に化学物質管理者の講習を受けました。

化学物質管理者とは

化学物質管理者とは、事業場における化学物質の管理に係る技術的事項を管理する役割を担います。具体的な職務は以下の通りです。

1.化学物質のラベル表示および安全データシート(SDS)を管理すること
2. リスクアセスメントを実施すること
3.リスクアセスメントの結果に基づくばく露防止措置を実施すること
4.リスクアセスメント対象物を原因とする労働災害が発生した場合の対応を行うこと
5.リスクアセスメントの結果等の記録の作成および保存ならびに労働者へ周知すること

※リスクアセスメントとは、化学物質の危険性や有害性を認識し事業者において労働者への危険または健康障害を生じるおそれの程度を見積もり、リスクの低減対策を検討する一連のプロセスです

簡単にまとめると、危険性・有害性が確認された物質を適切に管理し、労働災害を未然に防止するのが役割です。

なぜ化学物質管理者を目指そうと思ったのか

2024年4月に労働安全衛生法および労働安全衛生規則等の一部改正がありました。この改正により、事業場ごとに化学物質管理者の選任が義務付けられました。(私の勤務している羽田グローバルCPCでは選任義務があります)

私はすでに第一種衛生管理者の免許を取得しており、羽田グローバルCPCの衛生推進者として選任されていましたので、化学物質管理者の資格取得を決めました。

私は大学で生化学(分子生物学)を学んでおり、化学物質に関する基礎知識や実験経験を積んでいましたので、この学びを活かして、職場でも化学物質の安全管理に貢献したいと考えたことも受験をしようと思った理由の一つです。

羽田グローバルCPC内 生産技術部の様子

学びを通じて得たこと

学んだあとの感想としては、労働者の安心安全を守るための基本的な知識および化学物質管理者の職務内容を深く理解できたことが挙げられます。具体的には、以下のような学びを得ました。

1. 法令の理解
労働安全衛生法および関連規則(特化則や毒劇物取締法など)に基づく具体的な管理方法を学びました。これにより、法令遵守の重要性とその実践方法を理解することができました。例えば、特定化学物質の使用に関しては特定化学物質障害予防規則に基づき、取り扱いの際に必要な防護具の着用や使用場所の換気設備の設置など、具体的な管理手法を習得しました。

2. リスクアセスメントの実施
実際に各規則に該当する試薬のリスクアセスメントを行い、その結果に基づくばく露防止措置を実施しました。以下は、学びの過程で行ったリスクアセスメントの一例です。

・化学物質:クロロホルム
・危険性:毒性
・ばく露限界値(管理目標濃度):吸入(8時間)0.5 ppm、経皮吸収18.3 mg/day
・推定ばく露濃度:吸入(8時間)0.15~1.5 ppm、経皮吸収0.329 mg/day
・リスクレベル:合計(吸入+経皮)Ⅲ(※)

(※)リスクレベルの基準は厚生労働省が出している『CREATE-SIMPLE』 を用いました。
『CREATE-SIMPLEの設計基準』参照URL:https://anzeninfo.mhlw.go.jp/user/anzen/kag/pdf/CREATE-SIMPLE_design_v2.0.pdf

・対策:使用時には耐薬用防護手袋を着用すること、ゴーグルの着用をすること。

このように具体的なリスク評価と対策の立案を行うことで、実践的な安全管理のスキルを身につけました。

3. 安全データシート(SDS)の活用
化学物質の特性や取り扱い方法を記載したSDSを適切に管理し、現場での安全確保に役立てる方法を学びました。例えば、化学物質の保管場所や使用方法、緊急時の対応手順をSDSに基づいて整理し、従業員に周知することで、日常的な安全意識の向上を図りました。

4. 実践的な対応力の向上
リスクアセスメント対象物を原因とする労働災害が発生した場合の対応策について具体的な訓練を受けました。これにより、緊急時の迅速かつ適切な対応ができるようになりました。例えば、有機溶剤中毒が発生した場合の初期対応として、以下の手順を実践的に学びました。

・被災者を迅速に安全な場所へ移動
・速やかな医療機関への連絡
・現場の換気を徹底
・使用していた化学物質の特定と、事故原因の調査・記録

これを通じて、緊急時の対応手順を確実に実行できる自信を持つことができました。

実際の取り組み

また、実際の取り組みとして以下を行っています。

・職場の安全点検:毎月の定期点検で化学物質の保管状況やラベル表示の確認、緊急時対応設備のチェックを実施。
・従業員教育:全従業員を対象に化学物質の安全取り扱いに関する周知。
・記録の整備:リスクアセスメントの結果や安全点検の記録をデータベース化し、常に最新の情報を共有。


最後に

今回の化学物質管理者資格取得は、自分自身のスキルアップだけでなく、職場全体の安全性向上にも寄与するものでした。
これからもLearning Plus制度を活用して、さらなる知識と技術の習得に努め、今後もセルソースの成長と共に、自分自身も成長し続けたいと思います。


この記事を書いた人

近藤 駿悟|Shungo Kondo
セルソース株式会社 CPC本部 生産技術部
2019年1月にセルソースに入社し、現在は生産技術部で脂肪由来幹細胞加工受託サービスの改良、エクソソーム精製のスケールアップの検討等を行っている。


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